初めて買った飛行機を飛ばすとき、重心位置をどう設定していますか?
入門機、スケール機、スタント機、ファンフライと色々ありますが、今回は入門機やスケール機に焦点を当てて重心位置について解説しみます。
※スタント機やファンフライなど特殊な飛行をする場合は、通常のセオリー通りの設定でないこともあります。
というか、私自身やったことがないのでわからないというのが正直なところです。。。
さて、私が考えるに重心位置は25%~30%MACの間に設定さえすれば、翼が捻じれてるとか、尾翼が変な角度で付いているという事が無い限り、初飛行で墜落という事は無いと思っています。
時々初飛行の状態を見て「突込み気味だから重心を後ろへ下げよう」とか、「頭上げするから重心を前に」という判断をされる場合があるようですが、飛行姿勢(または飛行速度)を決めるのは尾翼取り付け角やエレベータートリムであって、重心位置ではありません。
重心位置を変えると、確かに飛行姿勢が変わって飛行速度も変わります。
しかし、重心位置が変わると飛行機が持つ縦の安定も変化してしまいます。
重心位置は機体の形が決まると、自動的に適正な重心範囲が決まってしまいますので、重心位置は飛ばす前にこの適正範囲に収めておく必要があります。
京商のゼロ戦EP500を例に計算をしてみました。主翼面積:0.1735m^2
スパン:1m
MAC:0.1795m
アスペクト比:5.76
水平尾翼面積:0.0426m^2
水平尾翼容積:0.594
重心位置:30%MAC
重心後方限界:43.2%MAC
Cmα:-0.752
最後に挙げた見慣れないCmαという値ですが、これは飛行機が定常飛行している状態から何かしらの擾乱を受けて飛行姿勢が乱れたときに、どの位復元力が発生するかを表す値で、マイナスで大きな値になるほど姿勢変化に対する復元力が強くなり安定度が上がります。

このグラフはゼロ戦EP500について、縦の安定を表したグラフです。
この計算では主翼取付角0度、主翼のゼロ揚力線を-2度、尾翼取付角0度と仮定して計算しています。
縦軸のCmはモーメント係数といって、プラスが機首上げ、マイナスが機首下げの回転力を表しています。
横軸は主翼の迎角(ただしゼロ揚力線から図った角度)です。
※ゼロ揚力線
(対象翼ではないキャンバー翼は迎角ゼロでも揚力を発生します。逆に言うと揚力がゼロになるマイナスの迎角があるという事で、そのラインをゼロ揚力線と言います)
縦軸が0(Cm=0)であるとき、飛行機には機首上げも機首下げの力が働かないという事を表していて、つまりこのポイントが飛行機の釣り合い迎角という事になります。
このグラフでは、約6度の所で横軸と交差しているので、飛行姿勢(ピッチ角)は6度-2度で4度機首上げの状態で飛行するという事になります。
(主翼の取り付け角をゼロと仮定しているためです。もし取付角が2度ならピッチ角はさらにその分減少して2度となります。)
さて、次に釣り合い状態から突風を受けて迎角が8度になったとしましょう。
グラフを見てください。
迎角8度の時、Cmの値はマイナス0.022位でしょうか。
この時Cmがマイナイスなので機体には機首下げの回転力が発生します。
逆に迎角が下がって3度になったとしましょう。
すると今度はCmがプラス0.04位の値になり、今度は機首上げの回転力が発生します。
こうして最終的にCm=0の点に落ち着くように、機体が勝手に姿勢を戻していきます。
これが静安定の正体です。
このように釣り合い状態から姿勢が崩れたとき、元に戻そうとする復元力が発生することを「縦の静安定がある」といいます。
ちょっと長くなったので、続きは次回に。
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