ラジコン飛行機を着陸させようと、低速で旋回させた時に失速して落としてしまう光景ってよくありますよね。
失速という現象は速度を失う事ではなく(結果的に速度を失いますが)、翼面上の気流が剥離する現象です。
ですので低速だから起きるのではなく、速度に関係なく失速は起こり得ます。
低速で飛行しているという事は、エレベーターなりエレベータートリムなりで機首上げ姿勢で飛んでいるという事です。
このように、そもそも失速迎角近くで飛んでいるので、さらにそこから引き起こしをすれば当然失速迎角に達してしまいます。
なので着陸直前の低速旋回で、エレベーターを使って釣るような飛ばし方をすると、コロッと行ってしまうんですね。
さて、飛行機がある角度でバンクしながら旋回しているとしましょう。

この飛行機は一定の高度で釣り合い旋回しています。
物が円運動するためには、必ず向心力が必要になります。
飛行機の旋回では、向心力は揚力の水平成分で賄われ、その反力として遠心力が発生しています。
この飛行機は釣り合い旋回していますので、向心力と遠心力が釣り合っています。
(バンク角とラダーの調和が取れて滑っていないという事です。)
さて、上下方向の釣り合いですが、機体重量はmgと一定ですが、揚力Lがバンク角θだけ傾いてしまっているため、このままでは垂直方向の釣り合いが取れず、高度が下がってしまいます。
そこで、エレベーターを少し引くとか、パワーを入れるかして揚力Lの垂直成分を増やしてあげる必要が出てきます。
このような操作で、最終的に垂直成分(L・cosθ)が機体重量mgと釣り合うと、揚力Lが水平飛行時の時よりも大きくなります。
この水平飛行時より、何倍揚力が大きくなったかを表す値が荷重倍数nとなります。

ここで、θは機体のバンク角です。
n倍になった揚力Lは、そのまま旋回時のGとして機体や操縦者に掛かってきます。
見かけ上、機体の重量がn倍になった状態になるため、大きな揚力を発生させていないと高度を一定に保っていられません。
下表はバンク角毎に計算した荷重倍数です。

実機なら30度以内が通常範囲かと思います。
60度の急旋回で2G、75度になると4G近くになります。
荷重倍数は、そのまま機体重量の増加として考えられます。
仮に今、失速迎角ギリギリで水平飛行時飛行している飛行機を考え、少しでもエレベーターUPすると即失速してしまうとします。
さて、この飛行機が30度バンクで旋回を始めました。
この時、荷重倍数は1.15なので、機体重量が1.15倍になっています。
ただし、もう失速迎角ギリギリなので迎角を上げて釣り合わせる事ができません。
よって速度を上げて釣り合わせることになります。
揚力は速度の2乗に比例するため、増えた重量を速度増で賄うためには増加分の平方根だけ増速してあげればいいことになります。
よって速度を1.15の平方根である1.07倍に増速してあげれば、釣り合い旋回を行うことができます。
つまり水平飛行では失速を起こさなかった速度でも、バンク角が30度で1.15Gが掛かっている状態だと、速度を1.07倍まで増速しないと失速してしまうという事になります。
このようにGが掛かった状態だと失速速度が大きくなるというを頭に入れて、旋回操作を行うようにするといいかと思います。
[22回]
ありがとうございます。
この機体、非常に飛ばしやすいですよ。
でも翼幅と垂直尾翼の大きさからすると、胴体が小さすぎたと思ってます。
飛んでいる姿を見ると、なんだか潰れたような感じでちょっと寂しい感じです。
pinoさんが作る際には、胴体を大きめに作られることをお勧めします!