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人力飛行機→フライトシム→RC飛行機→セキセイインコ飼育→上級滑空機ライセンス取得という空物好きです。
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キャンバーを持った翼形は、常に頭下げのモーメントが働いています。
これを如実に表しているのが下の写真です。 過去の鳥人間コンテストの時の写真ですが、主翼のねじり剛性不足でねじり下がってしまっていますが、これはキャンバー翼に働いている頭下げモーメントが原因で起きています。 例によって「THEORY OF WING SECTIONS」からの抜粋ですが、NACA4412というキャンバー翼の特性グラフです。 翼弦長25%の所に発生している頭下げモーメントですが、モーメント係数Cmは-0.4位になっています。(頭が下方向の力) 対象翼の場合は、失速しない限り常にほぼ0です。 さて、このグラフにはスプリットフラップを60度下げたときの値も載っています。 グラフを見るとCmのグラフが-1.2と負で大きくなっています。 つまりフラップを下げると、翼には強い頭下げの力が掛かることを意味しています。 「え?フラップ下げると機体は頭上げになるでしょ?」とお思いになるかと思いますが、それは翼の揚力増加の方が大きくなるため、尾翼とのモーメントの釣り合いが変化しているからで、主翼単体で考えると頭下げの力が掛かっているのです。 無尾翼機の場合、機首の上げ下げは尾翼のエレベーターではなく、この主翼のモーメント係数変化を利用しています。 エレボン「下げ」の状態は、上のグラフのように頭下げモーメントが強くなり機首が下がります。 逆にエレボン「上げ」の状態は、プラスのモーメント係数となって頭上げモーメントが働き機首上げになります。 ですのでエレボンフラットの状態で頭を下げて突っ込んで行ってしまう平板デルタ機などのトリム調整は、エレボンの状態を「上げ」として頭上げモーメントを発生させる必要があるのです。 エルロン時の動きですが、これは普通の翼と同じになります。 上図は右旋回時の舵面の動きですが、先ほどのモーメント係数だけで考えると左翼がなぜ下がらない?と思われるかもしれません。 これですが、左右の舵面が逆に動くためモーメント変化を左右で打ち消し合っているのだと思います。 よって左右の揚力変化で通常通りのロール運動が発生するものと思われます。 PR EPPや発泡スチロールの板を三角に切り出したものに、ペラをくっ付けてやると簡単にデルタ機を作ることができます。
私は所有していませんが、お手軽に作れることから仲間内では結構作って飛ばしている人がいます。 さて、デルタ機や無尾翼機には尾翼が無いため、エレボンというエルロンとエレベーターの役割が合体した動翼を持っています。 各舵面の動きと機体の動きは下図のようになっています。 上昇したい時は揚力を増やすために動翼を下げたくなる気がするのですが、そうではなく逆なんですね。 そのくせ、エルロンとしての動きは普通の飛行機と同じ動きになります。 Sキャンバー(反転キャンバー)を持った特殊な翼形で作成するのがベストなのですが、製作難度が高いですね。 発泡の板で作る場合は平板(対象翼)となりますが、作るのはとっても簡単。 さて、完成して重心位置を20%MAC位に設定し、そのまま投げると間違いなく頭を下げて突っ込んでいくと思います。 ちなみに父が飛ばしているデルタ機(と言ってもテーパー比は0.34)の重心位置を確認したところ、19%MACでした。 ここで頭下げで突っ込むからと言って、重心位置を後ろにずらすのは間違い。 平板で作成された対象翼の無尾翼機は25%MACが全機空力中心、すなわち重心後方限界になっていますので、普通の飛行機よりもずっと前に重心を置かないと縦の安定が取れなくなります。 頭が落ちるのはトリムがあっていない事が原因で、最終的にはエレベーターが若干上を向いた状態で落ち着く事になります。 最終的にエレベーターが上を向いた状態は、疑似的にSキャンバーが付いた状態と同じになっています。 よって、無尾翼機にはSキャンバーが用いられるのです。 続く。。。 ラジコン飛行機を着陸させようと、低速で旋回させた時に失速して落としてしまう光景ってよくありますよね。 実機なら30度以内が通常範囲かと思います。 つまり水平飛行では失速を起こさなかった速度でも、バンク角が30度で1.15Gが掛かっている状態だと、速度を1.07倍まで増速しないと失速してしまうという事になります。 サーマル工房のグライダKa-8b JUNIORを持っているのですが、グライダーの飛ばし方を分かっていないので、どうも上手く飛びません。 もちろん飛ばないと言っても墜落という意味じゃないです。 一番気になっているのは、飛行中のピッチング運動です。 設計図で指定されている重心位置は前縁より40mmの所。 MAC位置が機体中心より435mmの所にあり、MACは134.5mmです。 よって重心位置は29.7%MACとなっています。 初フライトでは指定位置で飛ばしたのですが、この時からピッチングが気になっていて不審に思いながらも重心を前に移動させました。 でも結局ピッチングは収まらず、飛ばし辛いままです。 先輩方に聞くとグライダーはピッチングしやすいので旋回終了時にはエレベーター操作で打ち消す操作をする、との事で、そういうものなのかなぁなんて思っていました。 その後色々調べてみたところ、このピッチング運動は長周期モード(フゴイド運動)なのではと思いました。 長周期モードは飛行機の静安定が大きな機体(Cmαが負で大きな値)の場合に強く表れる振動現象で、機体のピッチ角と速度が波打つ現象です。 (ピッチ角は大きく変化しますが、迎角はあまり変化しないのが特徴です) 振動を減衰させるのは主に空気抵抗であるため、グライダーのように抵抗が少ない場合は特に減衰が悪いようです。 この長周期モードを強めている原因がマイナスで大きなCmαとの事なので、重心位置を前に持っていくことは逆効果という事になります。 なので、重心位置を33.5%MAC(前縁から45mm)と後退させてみました。 これによりCmαの値は 29.7%MACの時、Cmα:-1.38 33.5%MACの時、Cmα:-1.18 となりました。(20013/6/23訂正) ※ちなみに零戦EP500は30%MACでCmαが-0.752です。 ↓これがその時の動画です。 わざとエレベーターを操作しないで、機体が揺れるままにしています。 ピッチ角は見ての通りですが、速度も録音されている風切音で大きく変化していることが分かると思います。 振動の周期(T)は約5.6秒。 振動数(ω)は1.12(rad/sec) でした。 ※ω=2π/T 29.7%MAC時の時とどう変わったかですが、正直顕著な違いはない感じです。 ただ、気持ちエレベーターでの振動打消し操作が減ったかなという感じなのですが、定量的なデータでは無いので気のせいかもしれません。 長周期モードの振動数は近似式上では飛行速度のみの関数のようなので、重心を移動しても振動の周期や振動数自体は変わりません。 Cmαと減衰率や振幅との関連性も手持ちの教科書には掲載がないので、今はこれ以上考察できないでいます。 ただ、グライダーのピッチング運動に関しては静安定不足によるものではなく、静安定過多によるものである可能性が高いと思います。 ラジコン飛行機の重心位置を調整している時、重心を後方に移動させていくとエレベーターが敏感になって行くという経験があるかと思います。
この現象、ずっと不思議に思っていたのですが、最近学生時代の教科書を読み返していて、もしかしたら「1Gあたりの昇降舵角」に関係しているのではと思いました。 「1Gあたりの昇降舵角」とは何ぞや?ですが、これは「1Gの荷重倍数変化を作り出すのに必要なエレベーターの舵角」です。 降下からの引き起こしや旋回中は、重力(G)が働いて機体重量が増加しています。 因みに60度バンクの定常旋回時では、機体には2Gの重力が掛かっています。 釣り合い水平飛行時(定常状態)は1Gですが、飛行機の運動状態によってこの重力が異なるわけで、定常状態の何倍のGが掛かっているかを「荷重倍数」と言います。 急激な引き起こしなどを行うと、荷重倍数が大きくなり、最悪構造破壊を起こします。 実機では通常運用中に発生させる事ができる荷重倍数が制限されており、制限荷重倍数と呼ばれます。 さて、降下状態から引き起こしをする際は当然エレベーターを引く事になりますが、その際のエレベーター舵角が大きければ当然急激な運動となり荷重倍数が大きくなります。 しかし、このエレベーター操作量によって発生する荷重倍数は、実は重心位置によって異なってきます。 重心位置によっては、小さい舵角で+1Gを発生させられたり、多きな舵角を取らないと+1Gを実現できないという事が起きます。 またしてもややこしい式を出しますが、引き起こしの際の1Gあたりの昇降舵角は次式になります。 (と言うか、なるそうです(笑)) 注目すべきはCmα/CLαとltです。 Cmα/CLαは(h-hn)と書き直せるのですが、これは重心後方限界と重心位置の差で、つまり静安定余裕の事です。 ltは重心と尾翼の空力中心(25%MACと考えて良いと思います)です。 Cmα/CLαとltは重心が後退すると値が小さくなり、この式の計算結果の値が小さくなります。 つまり小さい舵角で1Gを実現してしまう訳ですから、ちょっとしたエレベーター操作で大きな荷重倍数の運動が起きてしまいます。 つまりエレベーターが敏感になったと感じるようになります。 もう少し具体的に考えて見ます。 下の表は京商 ゼロ戦EP500の計算例です。 実際に飛ばしている30%MACと説明書記載の重心範囲である35%MACと38%MACの比較です。 τは昇降舵の利きといわれる値で、エレベーター面積と水平尾翼面積の比から求まる値で、参考文献にあるグラフから読み取っています。 また重量ですが質量(kg)ではなく重力加速度が掛かっている事に注意してください。 1Gあたりの昇降舵角の計算結果ですが、上表のオレンジの行になります。 重心が後方に移動すると値が小さくなっていく事が分かると思います。 30%MACを基準に比べると、35%MACは1.18倍、38%MACで1.49倍舵角が敏感になるという結果になりました。 重心が後方に移動した事による安定性の低下に加え、この1Gあたりの昇降舵角が小さくなる相乗効果で、非常に飛ばしづらい状況に陥ってしまうと思われます。 35%MACでも時々激しいピッチングを起こしていたので、38%MACでの飛行はほぼ不可能なのではと思います。 前回考察した安定余裕ですが、入門機などは大きな水平尾翼と十分なテールアームがあるので、静安定余裕は十分あり重心設定範囲が広がりますが、余裕があるからといって重心を後へ下げすぎると、この1Gあたりの昇降舵角の影響が大きくなってくると思いますので、注意が必要かと思います。 ※参考文献 航空機力学入門 加藤寛一郎・大屋昭男・柄沢研治 著 東京大学出版会 | プロフィール
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